解体工事前に知っておこうアスベストの危険性と判断・手順

【投稿日】

【更新日】

アスベストとは、天然で出来た鉱物線維で「せきめん」「いしわた」と呼ばれることがあります。

きわめて細い線維であり、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫であり変化が起こりにくい特性を持っているため、建材や摩擦材、シール断熱材などの工業製品に使用されていました。

しかし、アスベストによって生じた事態から問題視されるようになり2006年以降では使用禁止になっています。

なぜ使用禁止となったのでしょうか?以下の危険性が問題視されたためです。

  • アスベスト塵の吸引による、肺がんや悪性中皮腫の疾患の恐れ
  • 塵肺という激しい咳や呼吸機能低下を引き起こす可能性がある
  • この記事では、アスベストの危険性や判断方法などを解説していきます。自分の住まいが安全かどうかを確認しましょう。





    1. アスベストを使用した建物の解体は健康被害に注意 

    では、生じた問題とはどういったものでしょうか

    当時は安価で購入可能であることから「奇跡の鉱物」と呼ばれていたアスベストがなぜ、問題視されるようになったのかを知っていきましょう。

    1.1. 吸引による健康障害

    アスベストは非常に細かく、ある程度のレベルにならなければ目視することが難しいものです。

    飛散しやすいにもかかわらず、目視できないために気づきにくいという点が恐ろしい性質です。
    そのため、アスベストの吸引により、悪性中皮腫や肺がんなどの疾患を引き起こす可能性があります。

    アスベストは最初の吸引から15~40年前後の潜伏期間が存在しており、潜伏期間を経て発症することが発覚以降は使用が禁止されています。

    アスベスト肺

    アスベストを吸引したことにより、肺が線維化し塵肺という病気になる事があります。

    塵肺は、粉塵や薬品などによっても引き起こされることがありますが、原因がアスベストであると見られるものは「アスベスト肺」もしくは「石綿肺」と呼ばれています。

    主な症状は、激しい咳であり重症化してしまうと呼吸機能低下につながる恐れがあります。

    1.2. アスベスト含む建物の放置は危険

    飛散しなければ大丈夫と思われがちですが、それは大きな勘違いです。

    もし、アスベストを含んでいる建築物を放置してしまうと、日を追うごとに老朽化し破損・倒壊が起こった際には、大量のアスベストが空気中に飛散します。

    通常であれば、アスベストの処理は専門の業者が適切に処理する必要があります。もし、処理を怠ってしまったことで、アスベストが飛散した際には所有者や住人だけではなく、近隣の住民や多くの人々に健康被害が広がる可能性があります。

    1.3. 国がアスベストの飛散防止対策を指導

    環境省が定めた「大気汚染防止法」に基づき、特定建築材が使用されている建築物などの解体・改造・補修差票を行い際には、都道府県に事前に申し出を提出し、石綿飛散防止対策を義務付けられています。

    石綿を使用されている建築物または工作物の解体・改造・補修作業が対象になります。

    また、「大気汚染防止法」の改正により、従来では吹き付け石綿のみ特定建築物材料と記載されていましたが、吹き付け石綿並びに石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材が追加されました。

    2. 建物にアスベストが使用されているかどうかを判断する方法  

    2006年以前に建設された建物は、比較的アスベストが使用されている可能性が高いです。

    今の住まいに使用されているかどうかを判断するために、判断する方法として以下の手段を挙げました。ぜひ参考にしてください。

    2.1. アスベストが使われやすい場所の建材から

    • アスベスト含有成型板

    アスベストを含んだセメントなどを板状に固めた、比較的密度の高いものです。

    主な使用場所、または使用されている可能性がある場所には、屋根材・壁材・間仕切り剤・床材・天井材があげられます。

    • 吹き付けアスベスト

    アスベストをセメントまたは水などを混合し、吹き付け施行したものです。

    一戸建ての場合、使用されている可能性は極めて少ないと言えますが、集合住宅や規模の大きい住宅の場合には鉄階段の裏、駐車場の天井、壁などの吹き付けられている可能性があります。

    • 保温材/耐火被覆材/断熱材

    アスベスト成型板よりも密度の高いものです。集合住宅や規模の大きい住宅の場合、温水管の屈曲部などの断絶縁に使用されていることが可能性があります。また。金属製屋根材を用いた駐車場などを付属している場合、屋根材の裏にフェルト状の断熱材が張り付けられている可能性があります。

    2.2. 建築時の設計図書で竣工年を確認

    建築時の設計図書を確認することにより、吹き付け作業が行われた時期を知ることができるため、その竣工年からアスベストが使用されているか否かが判断することができます。

    昭和30~50年にかけて、吸音や耐火被覆用に約60~70%の吹き付け石綿が使用されている可能性が高く、この時期が建築材料として多く使用されていたと推測されます。

    昭和45~63年にかけて、石綿含の吹き付けロックウールが使用されている事が多く、1~30%ほどの含有量です。

    ただし、これらは目安として考えるものであり、この時期に竣工されていたとしても必ずしもアスベストが使用されているわけではなく、含まれない建築物である可能性があります。

    2.3. 判断建物の図面があるとチェックは簡単

    建築士に図面をもらい、使用されている建材の商品名を確認しましょう。

    商品名を確認できたら、次に国土交通省、経済産業省や日本石綿協会などでアスベスト含有建材の商品名が公表されているので、照らし合わせて建材として使用されているのかを確認することができます。

    注意点として、アスベスト含有量は製造年によって異なります。アスベストが含まれているかどうかだけではなく、含まれている量などを商品名と一緒に照らし合わせてみるといいでしょう。図面があるとチェックが簡単に進めることが出来ます。

    3. アスベストを使用した建物の解体費用の相場

    アスベスについての理解、判断方法について知ってもらえたら、次にアスベストを使用した建築物の解体費用の相場について解説します。相場を調べるで、ある程度の費用を知ることができます。

    3.1. 通常解体よりも割高

    アスベストを含んた建築物の場合、通常の解体業者への依頼ではなく、専門であるに依頼し、石綿作業主任者と特別管理産業廃棄物管理責任者が必要ため、通常よりも費用が高くなります。

    2006年以降、石綿飛散防止対策が強化されたために、解体工事の依頼者または施行者はアスベストの有無について事前調査を行い、その結果を解体工事現場に掲示しなければいけません。アスベストの使用した、または疑いのある建物は事前の調査費用がかかります。

    3.2. 処理面積ごとに相場がいくらかを紹介

    吹き付けアスベストの処理費用の目安として、おおよその相場を以下にまとめました。あくまでおおよその目安のため、以下の数字は必ずしも同じ値段になる可能性は低いです。

     

    アスベスト処理面積 価格相場
    300㎡以下の場合 2万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡
    300㎡ ~ 1,000㎡の場合  1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡
    1,000㎡以上の場合 1万円/㎡ ~ 3万円/㎡

    アスベスト処理費用は状況によって大きく違ってきます。部屋の形状や天井の高さ、固定機器の有無など施行条件により、工事着工準備作業・仮設などの程度の大きく異なり、処理費に大きく変動します。

    特に300㎡以下の場合、処理面積が小さいだけに相場の目安が非常に大きくなってきます。

    金額については事前に見積もりを算出してもらえるように業者に依頼しておきましょう。この際にも、1社のみではなく、複数社との金額を比較し、見積金額が適正であるかを判断することが可能です。また、複数社に見てもらうと大変になってしまうので2社くらいが丁度いいです。

    4. アスベストを使用した建物の解体工事の手順 

    つぎに解体工事の手順を解説します。通常の解体とは異なる点がいくつか挙げられるので、知っておくことで解体依頼時に混乱・トラブル防止につなげることができます。

    4.1. 現地調査による正確な見積書の作成

    解体費用の見積もりを電話やメールで出してくれる業者も居ますが、現地調査を行った方がより正確な見積もりを算出することができます。特にアスベストが使用されている建築物の除去費用の算出は現地調査が必須になります。

    現地調査の結果や解体対象物の図面をもとに、解体手順や重機の搬入ルートなどを計画します。また、同時にアスベストの処理計画や周辺及び作業員を含めた環境保全計画も作成します。ここで作成した施行計画は、工事のすべての手順となります。

    4.2. 業者との打ち合わせで工事の日程を決定

    施行計画を作成後は、業者との打ち合わせを行い工事の日程を決定します。

    日程を決める中で建物内の電気・水道などを停止・撤去するために事前に契約会社へ相談をしておく必要があります。また、その時には解体業者とも連絡を取り、日程を決めましょう。

    4.3. 事前の近隣へ挨拶

    実際に工事が開始されれば、近隣の人々には迷惑をかけてしまいます。

    そのため、依頼主と解体業者は事前に挨拶・説明をしなければなりません。近隣の人々が不安に思う点である工事の具体的な内容、工事期間、1日何時までの作業になるのかを伝えておきましょう。

    アスベスト使用の場合は、現地調査での結果を解体工事の場所に掲示しておく義務があります。これは、工事を開始する上で近隣とのトラブル問題の回避に大切なことです。

    また、解体工事が完了したら、工事が終了したことを近隣の人々に報告しましょう。その時にも解体業者が共に行ってくれる会社を選びます。なぜなら、解体後の処理を行わなければ後のトラブルを引き起こす恐れがあります。

    4.4. 工事完了後の受け取り代金の支払い

    アスベスト解体工事が完了後には、感契約書に工事完了報告書を提出します。その時に建物取毀証明書などの受け取り代金の支払いを行います。

    建物取毀証明書とは、登記されている建物を壊した際に、法務局へ建物がなくなったことを申請する意味であり、建物滅失登記に添付する書類のことをいいます。

    この書類は、建物を壊した証明として壊した解体業者が記入をすることなっています。滅失登記を完了していないと建物が残ったままとされ、固定資産税がかかってしまうので注意しましょう。

    5. 解体工事費用は補助金制度を利用して節約できる場合もある  

    補助金制度を利用することで節約できる場合があるということをご存知でしょうか。

    アスベストの解体工事は通常よりも費用が割高になるため、補助金制度の存在を知っておくことで金銭的にも余裕が生まれてくることができます。

    5.1. 補助金は解体工事の調査依頼前に相談

    アスベストの飛散による健康障害を予防し、その生命及び身体の保護を図る制度があります。

    国土交通省の社会資本整備総合交付金事業は、分析調査事業及びアスベスト除去などの事業を実施する当該民間建築物の所有者に補助金を交付する補助制度です。

    解体工事の調査依頼を行う前に解体業者に相談をしておきましょう。

    また、市町村がアスベスト改修の事業補助金交付要綱を策定している必要があり、その場合、市町村により補助対象、補助率及び上限額が異なるため確認することが大切です。

    5.2. 補助金は調査後に報告書を提出すると受け取れる

    補助金交付申請を行う前に、補助制度対象などの確認するために事前協議が必要です。

    建物の利用状況やアスベストの使用状況により、補助対象であるかを確認します。そのため、調査後に作成される報告書に記載されている建物の図面や現状の写真などを提出します。

    事前協議ののち、補助対象であると判断されたら補助金の交付申請をします。申請された書類の審査などを行い、この時、制度の要件に適合すると補助金の交付決定通知を行います。

    また、申請受付期間は補助を申請する年度の11月30日までとなっています。

    6. アスベスト対策は経験を積んだ解体業者を選んで任せよう

    アスベストの解体工事について理解を深めていただけたでしょうか。建設での使用禁止になってから、開業者は通常の解体を主にしている業者は多く、アスベスト対策の経験を積んでいる解体業者は少なくなってきています。

    解体業者選びをする際には、アスベスト対策の経験を積んでいる解体業者を選ぶことが大切です。

    また、アスベストだけではなく、工事終了後の処理をしっかり行ってくれる業者を選びましょう。最後まできちんと責任をとってくれない業者の場合、後に近隣からのクレームが来る可能性があるため注意です。


    関連する記事