熊本地震における家屋の解体、費用負担はどうなっている?

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熊本地震における家屋の解体、費用負担はどうなっている?

2016年4月16日に起きた熊本地震。前震、本震と震度7の大規模な揺れが2度も起こり、多くの家屋が被害を受けました。被災した家屋や建物の解体について、1995年に起きた阪神・淡路大震災の教訓を生かし、公費解体制度の枠を広げるなどして対策をとった熊本地震について見ていきましょう。

大規模災害時の、被災した家屋の早期解体の必要性についてもしっかりと理解しておくことで、2次災害を防ぐことができることに関しても同様に、理解をしておくことが大切です。




1. 熊本地震における被害

熊本地震は、震度7の大規模な揺れが2度も起こり、甚大な被害を出しました。そして、そのあとの余震も、震度6弱クラスの地震が続くなど、被害が拡大した要因となりました。熊本地震で起きた一連の地震による被害の規模がどのくらいのものだったのかを見ていきましょう。

1.1. 前震と本震、それぞれの規模について

熊本地震は、まず前震と呼ばれる本震前の揺れが、2016年4月14日 21時26分に発生しました。規模はM6.5 最大震度は7という大きな前震でした。続いて、本震の揺れが2日後の2016年4月16日 1時25分に発生しました。規模はM7.3で、最大震度は7。震度7の地震が立て続けに2回発生したのは、観測史上初でした。

M7.3は、阪神・淡路大震災と同等の規模の地震と言われています。その後も、震度1程度の地震が約590回発生しました。小さい揺れとはいえ、精神的な負担は計り知れないものであったことには間違いありません。

1.2. 観測史上初の地震

熊本地震では、震度7の地震が立て続けに2回も発生しました。これは観測史上初の出来事です。そして、この熊本地震に関連した一連の地震で、震度6弱以上の地震が7回も発生し、これも観測史上初という出来事でした。このことからも、熊本地震の規模がとても大きかったことがわかります。

1.3. 熊本地震の被害状況

観測史上初が続いた大規模な地震の被害はとても大きなものでした。2018年10月22日現在、死者は270人にものぼります。住家の被害状況は、2018年10月12日現在で197,183棟という甚大な被害を出しています。

警視庁、消防庁の情報では、2018年現在、人が住んでいた家屋の全壊被害が952棟で、すべて熊本県内でした。半壊被害は1,279棟で、熊本県内では1,275棟、大分県で3棟、宮崎県で1棟でした。一部破損被害は1,092棟で、熊本県内では837棟、福岡県で224棟、大分県で15棟、宮崎県で13棟、山口県で3棟でした。

そして、非住家被害は公共の建物が63棟、その他の建物が計51棟の被害を受けました。

さらに、6月19日から25日にかけて起こった大雨被害についても、大雨で起こった土砂災害を熊本地震による2次災害と認定しました。この大雨被害による死者は5人、一帯の地盤の緩みによる土砂災害が原因でした。

地震による被害は、地震だけにとどまらず、その後の2次災害についても大きなものになるということ忘れてはいけません。


2. なぜ大規模災害時に早急な家屋解体が必要なのか

大規模災害時には、被害を受けた家屋について早急な解体が必要となります。ただし、様々な事情から解体が進まない現状です。なぜ、早急な解体が必要になるのか、そして、早急な解体が必要なのにそれが進まないのはなぜかを、過去の大規模災害の例から見ていきましょう。

2.1. 被災家屋の解体の遅れによる2次災害

なぜ、被災した家屋等は早急な解体が必要なのでしょうか。それは、その被災した家屋がさらに倒壊などした場合に起こる2次災害を防ぐためです。

実際に熊本地震では、地震により被災していた家屋等が、その後に起きた豪雨などで倒壊し人命が失われるといったことが起こりました。

2.2. 家屋は個人の所有財産であるということで進まない解体

たとえ大規模災害時であっても、家屋は個人の財産であるため、倒壊した家屋についても法的には所有者の責任で解体を行わなくてはなりません

1995年に発生した、阪神・淡路大震災においては、倒壊した家屋の所有者地震が被災していたため、肉体的や精神的、経済的負担から解体が進みませんでした。そして、いつまでも倒壊家屋や災害廃棄物の山があることは、被災者にとって心理的負担になることも懸念されました。

復興が遅れることは精神的にもとても負担になります。特に、解体作業が行われないまま残ってしまっている被災した家屋等があることは、被災者にとって復興している気持ちになれないと言ったような声も多く聞かれていました。

行政や、自治体が、被災した家屋や建物について、どこまで介入できるのかという問題が、個人の所有する家屋や建物は個人の所有財産であるということで、なかなか進まないということがあります。この問題は地震大国と呼ばれる日本にとっては解決していかなくてはならない課題となっています。

2.3. 災害廃棄物処理の問題

大規模災害時には、とても多くの災害廃棄物を処理しなくてなりません。この問題は、通常の産業廃棄物とは異なり、処理に慣れていない市町村にとって多くの課題を残しました。災害廃棄物には、コンクリートや金属くず、廃棄家電、そして灯油タンクやガスボンベなどの危険物も含まれます。これらを適正に処理しなくてはならず、さらに大規模災害時には、これらの災害廃棄物が一度に大量発生するということが問題です。

そして、倒壊家屋を含む災害廃棄物の収集・処理が長期化してしまうと、被災地の復旧・復興が遅れるとともに、廃棄物処理費が高くなり財政を圧迫することが懸念されます。

2.4. 早急な家屋解体を進めるために

阪神・淡路大震災ををきっかけに、家屋解体の公費解体制度が設立されました。これにより、倒壊家屋解体の早急な取り組みにつながることが期待されています。

公費解体は、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨、2018年の北海道胆振東部地震で適用されました。


3. 公費解体について

阪神・淡路大震災より設立された公費解体制度について、どのような制度なのか、申請にはどういった書類が必要なのかということを見ていきましょう。

3.1. 被災した家屋等の公費解体について

公費解体は、被災した家屋等の所有者の申請に基づき、市町村が解体撤去が必要と判断した場合に、所有者に代わって市町村が解体・撤去を行う制度です。

所有者自身が被災したことによる、被災した家屋等の解体の遅れの問題を解決するために阪神・淡路大震災をきっかけに創設された制度です。

通常は、全壊判定を受けた家屋については、元通りに使用することが困難であるものが補助対象となり、半壊以下の判定を受けた家屋については、個人の資産であるということから補助の対象外となります。

3.2. 公費解体申請時の必要書類とは

公費解体を申請する場合には、まず罹災証明書、建物の登記事項証明書が必要になります。
また、その建物の所有者が故人の場合は、相続人全員の同意書が必要となります。そして、住宅ローンを支払っている場合には、ローンを組んでいる銀行が抵当権を持っているため、銀行の同意書が必要になります。

全壊判定を受けた場合でも、家屋の所有者が市税滞納者の場合は、申請が受け付けられないといったこともあります。そのほか、ケースによって個別に書類が必要になる場合もありますので、窓口でしっかりと確認しましょう。

3.3. 熊本地震における公費解体について

熊本地震の公費解体は、半壊以上の判定を受けた家屋等に適用となりました。すでに個人が自主撤去した場合についても、民法上の事務管理の考え方等に基づき補助の対象としました。申請には、罹災証明書、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)等が必要とされました。

熊本地震では、各市町村で、早期の解体着手・遂行を実現するため、公費解体における入札等は行わず、熊本県解体工事業協会との間で随意・短歌契約を締結しました。

熊本地震における公費解体の申請受付はすでに終了し、公費解体済棟数は2018年3月末時点で35,639棟、解体進歩率は99.9%で、地震発生から2年以内(2018年3月まで)に公費解体を完了する目標はほぼ達成されました。


4. 自費解体の公費補助について

公費解体を待っていたのでは、解体作業が開始されるまでにとても時間がかかってしまう場合があり、その場合に自費解体を選択される方も多かったのではないでしょうか。自費解体を行なった場合の公費補助はあるのか、詳しく見ていきましょう。

4.1. 公費解体が遅れる理由について

まず、公費解体はなぜ遅れるのか、ということですが、公費解体は申し込み順ではないということが大きな要因です。公費解体は、危険度順に行われていきます

公費解体は危険度が高いと判定され、その家屋が原因で周囲に2次災害が起こりうる危険性のあるところから優先的に行われるため、どうしても危険度が低いと判定されてしまった家屋は順番が後回しになってしまいます。

さらに、解体が始まった家屋からでた品物を、一つ一つ所有者に確認を取りながら作業を進めていくため、通常の解体作業よりも時間をかけて作業を行なっていかなければならないといった事情もあります。

4.2. 自費解体を行なった場合の公費補助申請について

熊本地震では、自費解体を行なった場合でも、必要な書類を提出すれば公費補助にを受けられる可能性があります。必要な書類は、解体工事に関わる契約書、見積書、領収書と、解体作業開始から廃棄物の処分までを記した書類、建物の解体前、解体作業中、解体作業完了のそれぞれの写真が必要になります。

公費補助には上限があり、各自治体で設定された基準額以内であれば全額が返金されますが、基準額を超えた金額については所有者の負担となります。

自費解体の公費補助申請の受付はすでに終了しています。


5. 家屋が被災した時の注意点

それでは、家屋が被災してしまった時にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。急いで自費解体をせずに、まずは国や自治体の動向を確認するようにしましょう。

自身で解体作業を進める場合、被災による疲れや、家の物、家屋自体への思い入れなどにより解体作業はゆっくりと進んでいきます。家屋の解体を進める場合の注意点や、公費解体、自費解体後の公費補助に必要な各種証明書などについて見ていきましょう。

5.1. 家屋が被災した場合に取っておく証明書等について

まず、家屋が被災した場合には必ず自治体に相談し罹災証明書を発行してもらってください。公費解体の申請を行う場合には、罹災証明書と建物の登記事項証明書が必要になります。

自分で解体工事を依頼し自費解体を行う場合で、後から自費解体の公費補助を申請する場合には、解体業者との契約書、見積書、領収書と、解体工事の工程を示した書類が必要です。さらに、解体前、解体工事中、解体工事完了後の写真もそれぞれ必要になりますので忘れないようにしましょう。

5.2. 大規模災害時の解体業者への依頼について

大規模災害時には、解体業者がきわめて繁忙となり、なかなか解体が進みません。解体についても、危険度の高い建物から取り組まれることが多く、個人で解体業者を探そうとするとのか難しいことがあります。

大規模災害時の弱みにつけ込む悪質な業者も多く存在することにも気をつけなくてはなりません。自費解体を進める場合には、きちんと工事後も書類の作成などを行なってくれる業者を探すことが必要です。

解体業者探しや、複数の業者に見積もりを依頼する場合は、優良な解体業者が見つかる一括見積サービス・ヌリカエを上手に活用しましょう。



    

6. 大規模災害のときこそ信頼できる解体業者を選ぼう

大規模災害のときにこそ、信頼のできる解体業者を選ぶことは大変重要です。弱みに付け込んで、解体費用だけをだまし取るといった詐欺事件も数多く起きています。解体業者を選ぶ際には、大規模災害時だからこそ、慎重になることも大切です。

解体工事を依頼する場合は、災害時でもきちんと複数の業者に見積もりを依頼し、相場を把握することも大切です。そして、自費解体を行う場合、解体工事後に公費補助を申請する可能性があることもしっかりと伝えて、必要な書類等を用意してくれるのかということも確認するようにしましょう。

6.1. 解体業者選びは一括見積査定のヌリカエで依頼

解体業者選びの見積もりは、1回の情報入力で複数の業者に見積もりを依頼できる、一括見積もりサービス・ヌリカエを上手に利用しましょう。複数の解体業者にそれぞれ見積もりをとるという手間が省け、見積もりを比較検討することができます。